2020年

田中まにこ MANICO TANAKA

海に残る“見えないもの”と向き合う


島根県隠岐の島出身のイラストレーター・デザイナー。 主にドローイングで不可思議をテーマに様々な表現を展開する。

田中まにこ MANIKO TANAKA

2020年10月、島根県隠岐で行われたマイクロプラスチック調査に同行した田中まにこさん。彼女は普段、地元の隠岐でイラストとデザインの仕事をフリーランスでしています。

田中さんは、幼いころから隠岐の豊かな自然に囲まれて育ちました。

「海は一見きれいに見える。でも目線を少し落とせば、たくさんのごみがある。それがすごく悲しかったんです」

そんな思いを胸に、彼女はこの調査に参加することを決意しました。海洋プラスチックの問題は日本だけではなく、世界共通の課題だと感じていたからです。

調査の中で、田中さんは顕微鏡を使ってプランクトンやマイクロプラスチックを観察する機会を得ました。
「それがすごく印象的で。これまでイカや魚など、目に見える海の生きものを描いてきたけれど、見えないものも描きたくなったんです」見えないものの中に、見逃せない問題がある。
そんな気づきが、彼女の作品に変化をもたらしました。

そして制作されたのが、「umi a」と「umi b」2点の作品です。

「umi a」
「umi b」

ぱっと見では美しい海。しかしよく目を凝らすと、自然ではない“何か”が潜んでいる──。

人がつくったものが、見えないほど小さくなって海に残り続ける現実。

そしてその問題に、私たち一人ひとりが向き合う必要がある。

作品には、そんな強いメッセージが込められています。

調査に参加して得た「見えない存在に目を向ける大切さ」は、今も田中さんの中で強く残っています。

「これからの作品では、ただ美しいだけの海を描くのではなく、その奥にある現実や課題も表現していきたいと思います。小さな気づきが、未来を変える一歩になると良いなと思います。」

シェア