目的

ブルーカーボン生態系は生命のゆりかご

ブルーカーボン生態系の実態と炭素循環の仕組みを理解する


新たな科学的知見を提供し、気候変動対策やブルーカーボン生態系保全に貢献する


芸術や環境教育プログラム、イベントを通じて、ブルーカーボンの重要性や地球温暖化など人間活動が海洋に与える影響について、一般の方の意識を高める


海の重要性や海が置かれている現状を知って頂くという活動を、持続的にそれぞれの地域で継続されていく事を目指すため、全国各地NGOやNPOとの協力関係を構築する

Tara JAMBIOはブルーカーボン生態系の実態と炭素循環の仕組みを理解するため 海藻・海草などを対象にした調査・研究を最低 3 年間行います。実地調査は、海藻の多くが芽吹く春の期間(4 月~6 月頃まで)に全国 11 か所以上で行います。結果は科学論文で発表し、データをオープンデータとして公開します。

「ブルーカーボン」という言葉自体はまだ新しい言葉で、2009年にUNEP(国連環境計画)がブルーカーボン生態系における炭素貯留能に着目した報告書を作成したことで、世界的に注目が集まる様になりました。

そして近年、このブルーカーボン生態系は、地球温暖化の原因とされるCO2の吸収源として注目されており、地球温暖化対策に貢献すると期待されています。

概要

ブルーカーボン生態系を理解しデータを構築する

炭素隔離過程の解明
植物が光合成でCO2を有機物に変え、その後有機物が海の中にどのように隔離されるのか解明する。

日本全国の沿岸域には、様々な種類の海藻や海草などが生息しており、それぞれで異なるとされるCO2の隔離メカニズムを網羅的に解明する初めての試みです。

 

生物多様性の評価

それぞれの場所で環境DNAや生物相調査を行い、生物のゆりかごとしてのブルーカーボン生態系の機能を解明する。

 

マイクロプラスチック
前プロジェクトで取り組んだマイクロプラスチック調査も並行して実施。

 

まず、海藻類の藻場でプロジェクトをスタートし、その後海草をターゲットにした研究も実施していく予定です。
既に北海道から沖縄まで、数多くの臨海実験所の賛同の元で準備が進められています。

  • 3年調査期間

  • 11箇所以上調査拠点の数

  • 6人以上関わる科学コーディネーターの人数

ブルーカーボンとは?

海洋生物の働きによって海に吸収・貯留されている炭素のこと。この炭素を吸収・貯留する海洋の生態系を「ブルーカーボン生態系」という。ワカメなどの海藻類、アマモなどの海草類、マングローブ、干潟や塩性湿地などがあげられ、海藻や海草が群落をつくる「藻場」は、多くの生物の住処にもなり「海の森」とも言われている。

知っていますか?

日本沿岸では近年、藻場が突如として消えてしまう「磯焼け」と呼ばれる現象が頻発しています。 この「磯焼け」が拡大すれば、海全体の生態系、私たちの食卓への影響はもちろん、日本の伝統である海女さん文化の消滅など、影響ははかり知れません。

課題

新たな課題への挑戦

研究

ブルーカーボン生態系の実態と可能性、炭素循環の仕組みがまだまだ科学的に理解出来ていないこと

啓発活動

ブルーカーボン生態系や海洋全般の重要性と課題が一般的に知られていないこと

環境

ブルーカーボン生態系の激減が近年進行していること

1998年の環境省の調査によると、約10年で藻場が約70%に減少し、今後も減少する予測が水産省で発表されています。海水温の上昇、ウニ・魚による食害、海岸の環境汚染など様々な要因が考えられますが、全容は解明出来ていません。

 

チーム

JAMBIOのネットワークと全国のブルーカーボン研究者の連携

前回のTara JAMBIO マイクロプラスチック共同調査と同様に、JAMBIO (マリンバイオ共同推進機構)と協働します。

JAMBIOのネットワークを利用する意義
・全国での調査が可能
・各臨界実験センターの設備 (船・ラボ)が使用可能
・その地域の海流や生態系を熟知したエキスパートと一緒に調査をすることでより効率的かつ効果的に調査が可能

さらに今回のプロジェクトでは、全国のブルーカーボン研究者とも協力していきます。

 

 

パートナー

和田 茂樹

Tara JAMBIOブルーカーボンプロジェクト 科学コーディネーター 筑波大学 下田臨海実験センター 助教

JAMBIO (マリンバイオ共同推進機構)

平成21年(2009年)に筑波大学下田臨海実験センターと東京大学海洋基礎生物学研究推進センターの連携協力組織として発足し、海洋生物学に関する共同利用・共同研究の推進、海洋生物学分野における学術研究の発展、全国の臨海実験施設の連携活動に貢献してきました