2017年
二コラ・フロック Nicolas Floc’h
- 写真
- 彫刻
- タラ号太平洋プロジェクト
水中生物の環境と、その生産的な生態系の役割をどう表現するか追究
人工魚礁と海中景観
パリとブルターニュを行き来しながら活動している二コラ・フロックは、船乗りでダイバーでもあり、ベルギーのゲント市立現代美術館、パリのポンピドゥー・センターやパレ・ド・トーキョー、日本の瀬戸内国際芸術祭2019などで作品を発表しています。 2008年にニコラ・フロックは、日本にも数多く見られる人工魚礁(海の動植物が生息する人工構造物)の存在を知ります。
二コラ・フロック Nicolas Floc’h
ニコラ・フロックは2017年3月23日~4月28日、東京から台湾の基隆市まで、タラ号に乗船し、アートとサイエンスの視点から、生物が生息する水中環境をどのように描写するべきか追究しました。
船上では、科学者のすべてのダイビングに同行し、彼が「生産性の高い構造物」と形容する人工魚礁のリスト作りに取り組みました。2015年に開始した写真シリーズ「プロダクティブ・ランドスケープ(生産的な景観)」を継続し、生産的な生態系の役割を担う水中風景や生息地を収めた写真作品を発表しています。作品を地球規模で捉え、海洋酸性化や地球温暖化といったテーマを具体的に表現することができるため、船での活動は彼にとって大切な要素です。
ニコラ・フロックがタラ号で出会った科学者とのコラボレーションはその後も続き、2019年にシルバン・アゴスティーニの協力を得たフランス国立造形美術センターの「流動、動き続ける社会(仏題:Flux, une société en mouvement)」や、2018年に彼がブルターニュで開始した研究「Initium Maris(ラテン語で「海の始まり」)」があります。2018年に、現代アートのための地域基金「フラック・ブルターニュ」によって出版された書籍『Glaz』(ローマパブリケーション出版社)には、およそ50ページにわたりタラ号太平洋プロジェクトが収録されています。