2020年
TWAKO SANO
- 写真
- 絵画
- Tara JAMBIO マイクロプラスチック共同調査
「陸から川を流れ、時代を超えて、身体、海へとたどりつくもの。」
アーティスト。三重県生まれ。 2017年に自身の山村留学体験とリサーチをもとにした絵画作品『ここにも水が来るらしい』を発表以降、絵画、パフォーマンスアート、音楽制作など、さまざまな創作活動を行う。人やものや自然の生きた、陰と陽の軌跡を描き続けている。 パフォーマンス・プラットフォーム『Stilllive(スティルライブ)』に属する。近年は、香港の“Eaton.HK”にて数カ月のレジデンスを行い、滞在中に“Per.Platform × Tomorrow Maybe”にてパフォーマンス作品『PEACH』を発表する。
TWAKO SANO
三重県の木曽三川の麓で育ったアーティスト、TWAKO SANOさんは、2020年11月、地元・三重にある菅島でのマイクロプラスチック調査に同行しました。
人や土地のルーツや社会問題に対して深い関心があり、様々な手法で創作活動をするTWAKOさんが、Tara JAMBIOのプロジェクトに参加したきっかけについて、こう語りました。
「小さなころから親しく遊んでいた地元の川が、年々汚れていくことが残念で仕方ありませんでした。川や海の現状と問題について理解を深め、アーティストとしてできることを探りたいと思ったのです。」
調査に参加し、海の問題が単に海の中の出来事ではないことを実感したそうです。
「人間の手によって作られたプラスチックは、祖母から母へ、私の身体へと受け継がれるように、川を流れ、時代を超えて、海へとたどり着く。地球環境全体に残り続け、その循環と深く結びついていること、さらに陸や川にも影響を及ぼし、最終的には私たちの日常生活にも影響が返ってくる」
また、過酷な状況の中で働く科学者や技術職員たちの姿に感銘を受けたとのこと。
「みなさんの努力で得られるデータが、問題に向きあい、考え、変革を起こす力になると知り、小さな積み重ねが現状を変えるのだと感じました。」
その体験から発想を得て「作りすぎた夢」が生まれました。
写真と絵画で表現されたこの作品には、下記のメッセージが込められています。
「私たちはこれまで、快適な暮らしを求めて生きてきました。
私の祖母は、鈴鹿山脈の麓の山間に暮らし、母は、四日市の煙突から出る、煙混じりの風を感じながら青春を過ごし、私は、伊勢湾に注ぐ木曽川と長良川の輪中で生まれました。
プラスチックの誕生で豊かさは手軽に得られるようになり、私たちは一瞬の利便性や夢を追い求めて、先を見据えることを忘れていました。
陸で作られたプラスチックは、川を流れ、時代を超えて、海へとたどり着きます。それは、祖母から母、そして私の身体へと蓄積されるもののように。
私たちは、この作りすぎた夢を、省みながら生きてゆかなくてはいけません。」