目的

北極は、地球の気候の監視役

なぜ、海氷の減少が加速しているのか?


海氷年間融解量の推移は、季節によってどのように変化するのか?


人々の気候に対する意識の高まりの先頭に立ち、かつてない人類の壮大な旅を通して事態の緊急性を訴える。


欧州における主要な気候現象を予測可能にする。

© Fondation Tara Océan

2006年5月、スクーナー船タラ号と探査チームは母港ロリアンを出発し、100年前にナンセンのフラム号が成し遂げて以来初めての危険な航海へと旅立ちました。

国際極年2007-08は、将来の気候変動を見据えた極地研究に身を投じる千載一遇の機会でした。

約500日間、つまり北極点ではそれぞれ6ヶ月間つづく極夜が二周期、白夜が一周期繰り返される長い間、気温マイナス25℃の中、氷塊漂う北極海を横断しました。

11人のチームが世界の最北で、1日平均10kmの速度で進みながら水深3,500mから高度2,000mまでの様々な計測を行いました。その目的は、欧州のさまざまな気象現象の予測を可能にするため、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に情報データを提供することです。

船上の日々

自ら氷の海に隔離された 乗組員たち

設計者オリビエ・プティ、リュック・ブーベ、技師のミシェル・フランコによって、もともと極地漂流を想定して作られた船とはいえ、流氷による幾度もの襲撃に対して設計通りの耐久性であるかどうか、本番はまさに緊張の航海でした。

スクーナー船について
  • 507日間

  • 5,200 km

  • 1,500

  • 4倍速

常識を超えた信じがたい経験でした。最初の探査隊員は8ヵ月間をタラ号で過ごし、そのうち何人かは1年以上滞在しました。グラントという一人の船員だけが507日の全期間をタラ号で過ごしました。

気候変動は、この地域を目まぐるしく変化させています。それは、北極圏に住む500万人の生活だけではなく、全世界に影響を及ぼすものであり、地球規模での対応が急務となっています。

わかったこと

海氷が急速に溶けている理由

時間の経過と変化
氷の上に乗り上げ、氷の海に1年以上滞在し、大気、海洋、氷塊の3つの要素を同時に観測することで、氷の季節的なサイクルの主要な部分を特定することができました。

反射率(アルベド)の重要性
また、太陽エネルギーを地球が反射する割合であるアルベドの効果についても解明し、夏冬を問わず赤道から極地に多くの熱を伝える海洋・大気圏の現象が存在することが理解出来ました。

冬の寒さ不足
また、冬に氷がかなり薄くなっていることもわかりました。氷の融解はもちろん夏に見られますが、今日観測される大規模な氷の減少は、 実は冬期に起こっている現象に起因しているのです。昔に比べて冬の寒さが和らいだことで、氷が少なくなり、夏に太陽が戻ってきたときに溶けやすくなっているのです。

© Fondation Tara Océan

学術出版物

タラ号北極プロジェクト

16/05/2012

Validation of atmospheric reanalyses over the central Arctic Ocean

Erko Jakobson, Timo Vihma, Timo Palo, Liisi Jakobson, Hannes Keernik, Jaak Jaagus

タラ号北極プロジェクト
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タラ号北極プロジェクト

16/11/2010

Seasonality of spectral albedo and transmittance as observedin the Arctic Transpolar Drift in 2007

Nicolaus, Marcel ; Gerland, Sebastian ; Hudson, Stephen R. ; Hanson, Susanne ; Haapala, Jari ; Perovich, Donald K.

タラ号北極プロジェクト
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タラ号北極プロジェクト
タラ号北極プロジェクト
タラ号北極プロジェクト
タラ号北極プロジェクト
タラ号北極プロジェクト

01/12/2012

Melt pond formation and temporal evolution at the driftingstation Tara during summer 2007

Paula Sankelo, Jari Haapala, István Heiler, Eero Rinne

タラ号北極プロジェクト

14/10/2011

Low-frequency bursts of horizontally polarized waves in the Arctic sea-ice cover

David Marsan, Jérôme Weiss, Jean-Philippe Metaxian, Jacques Grangeon, Pierre-François Roux, Jari Haapala

タラ号北極プロジェクト

14/11/2013

Low-level jet characteristics over the Arctic Ocean in spring and summer

L. Jakobson , T. Vihma, E. Jakobson. T. Palo1, A. Männik, and J. Jaagus

タラ号北極プロジェクト

10/12/2011

Linking the effective thermal conductivity of snow to its shearstrength and density

Florent Domine, Josué Bock, Samuel Morin, Gérald Giraud

タラ号北極プロジェクト

15/01/2008

Exploring Arctic Transpolar Drift During Dramatic Sea Ice Retreat

Jean-Claude Gascard, Jean Festy, Hervé le Goff, Matthieu Weber, Burghard Bruemmer, Michael Offermann, Martin Doble, Peter Wadhams, René Forsberg, Susan Hanson, Henriette Skourup, Sebastian Gerland, Marcel Nicolaus, Jean-Philippe Metaxian, Jacques Grangeon, Jari Haapala, Eero Rinne, Christian Haas, Alfred Wegener, Georg Heygster, Erko Jakobson, Timo Palo, Jeremy Wilkinson, Lars Kaleschke, Kerry Claffey, Bruce Elder, Jan Bottenheim

タラ号北極プロジェクト
タラ号北極プロジェクト

チーム

挑戦の中心チーム

氷上では、船員、財団のエンジニア、フランス国立科学研究センターとソルボンヌ大学が取りまとめた12カ国の科学者からなるチームが活動しました。

エチエンヌ・ブルゴワ

代表理事・共同創設者

ジャン・クロード・ガスカール

タラ号北極プロジェクト研究ディレクター フランス国立科学研究センター研究ディレクター

タラ オセアン ジャパンのパートナー

メインパートナー
パートナー