目的
沿岸の生態系を発見する
汚染物質が海洋生物多様性に与える影響をよりよく理解する
地域および地球規模の気候変動がマイクロバイオーム(微生物叢）に与える影響を予測する
存在する微生物を把握、分類・マッピングし、各生物種の相互作用と役割を明確にする
新たな相互作用や新種を発見する
© Noelie Pansiot
タラ号は、2年間にわたり、ヨーロッパ沿岸の生態系の研究をします。このプロジェクトのサンプリングは、欧州分子生物学研究所（EMBL）が主導するTREC探査プログラム（Traversing European Coastlines）の一環で、Tara Oceansコンソーシアム、タラ オセアン財団、他70以上の科学機関が協力しています。この探査では、EMBLの移動研究室による陸上での生物多様性の研究と、タラ号による海上の生物多様性の研究が並行して行われます。
概要
陸と海からの探査
ヨーロッパの海岸線は、生物多様性、産業、文化遺産、自然遺産に恵まれた環境です。ヨーロッパの人口の40%は沿岸地域に住んでいます。海や海岸は、極めて豊かな生物の多様性を育み、より広い生態系の安定と持続可能性に不可欠な役割を担っています。
-
25,520 kmヨーロッパ沿岸の航行距離
-
19ヵ国横断・サンプル採取する国
-
17ヵ国タラ号が寄港する国
-
延べ40人乗船する科学者
Peer Bork教授／EMBL Heidelberg所長・TRECコーディネーター
「私たちは陸と海の生態系がどのように作用し、その中の生物が自然および人為的な環境変化にどのように対応するかをより深く理解するため、地球上の主要な2つの生態系の相互作用を探査します。」
あらゆるレベルでの環境汚染
10年以上前から注目されている目に見えるプラスチック汚染と同時に、河川や海岸の人為的な化学汚染は、その対策が急務です。なぜなら、気候変動よりも速いスピードで地球や人間の健康に悪影響を及ぼす可能性が高いからです。
課題
汚染物質に関する前例のない研究
汚染物質は、工業、農業、家庭、病院などから環境に入ります。研究者たちは、陸と海の境界での汚染の広がりを調べるため、以下の3つの汚染物質に焦点を当てています。
医薬品
水資源から4000種類以上の医薬成分が検出されています。分解される製品も生態系に影響を与える可能性があり、特に抗生物質はすべての下水道を通過し、自然界に耐性菌を生み出す恐れがあります。
農薬
EMBLでは、1000種類以上の農薬を研究し、バクテリアがこれらをどのように代謝し、どんな副産物ができるかを調べています。TRECとタラ号による調査で、これらの仮説を検証する予定です。
プラスチック添加剤
本プロジェクトでは、科学者たちが可塑剤を分解するバクテリアを探し出し、7つの研究室が協力して、添加物の化学的プロファイリングを行います。
医薬品、農薬、プラスチックの蓄積は、生態系と人間の健康に対する脅威です。私たちが環境に出したものは、空気、水、食べ物を通じて再び私たちに返ってきます。その影響を理解することが急務です。
© Maéva Bardy
コロンバン・ド・ヴァルガス Colomban de Vargas
Tara Europa科学ディレクター
クレモンティーヌ・ムーラン Clémentine Moulin
オペレーションディレクター
パートナーラボ
