Tara JAMBIO ブルーカーボンプロジェクト忍路調査・啓発イベントレポート

「Tara JAMBIO ブルーカーボンプロジェクト」は、海藻や海草などのブルーカーボン生態系を科学的に調査し、その重要性を広く発信するプロジェクトです。今年度は全国7拠点で調査を行っており、第6拠点として北海道・忍路での調査と啓発活動を実施しました。

忍路臨海実験所

Tara JAMBIO ブルーカーボンプロジェクトは、4月の下田を皮切りに、5月には長崎県・五島列島(上五島)と高知県・土佐、6月には香川県と新潟県・佐渡で調査を実施。今回の忍路調査は、7月6日から12日まで北海道大学北方生物圏フィールド科学センター忍路臨海実験所を拠点に行われました。実験所は小樽と積丹半島のちょうど中間に位置し、明治期に建てられた歴史的建物で、その貴重さから観光客が撮影に訪れる姿も見られました。

調査は実験所前の忍路湾西側で実施されました。水深の浅い海域であったため、ダイバーが時折シュノーケリングに切り替えながら作業を進めました。

©Manabu Ooue

忍路の藻場には、北海道ならではのホソメコンブをはじめ、ホンダワラやアオサなど多様な海藻が確認されました。しかし同時に、大量発生したウニによる「磯焼け」も見受けられました。ウニの密集する場所では藻場が失われ、海底が荒廃している様子がはっきりと分かりました。

ウニがいるところは磯焼けしています ©Manabu Ooue

香川、佐渡に続き、忍路でも「泥で描くワークショップ」を調査中に開催しました。研究者もアーティストも分け隔てなく参加し、ほぼ全員が作品を制作。

筑波大学・大森先生と香川大学・中國先生の合作

最終日には、一般の方向けに啓発イベントを実施しました。定員を超える申し込みがあり、参加をお断りせざるを得ないほどの関心が寄せられました。

イベントは、実験所横の海岸でのクリーンアップから始まりました。小規模な浜でしたが湾内にごみが溜まりやすく、漁業由来のごみも多く回収しました。参加者からは「限られたエリアでも、大量のマイクロプラスチックになり得る廃棄物が存在することを実感できた」という声も。

続いてラボ内でセミナーと実験・観察を行いました。北海道大学の四ツ倉先生からは、忍路臨海実験所の歴史や、研究対象であるコンブについて詳しいお話を伺いました。札幌や小樽から参加した方々にとっても、身近な海・忍路の自然について新しい学びの機会となりました。

イベントの様子

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