タラ極地ステーション 気候の監視役、北極を研究する
北極は気候危機を告げている
北極海は、辺境の極限環境でその実態はよく知られていません。また、光や気温、海氷の季節変化が激しく、1年の半分近く続く日中太陽がのぼらない極夜の間、そこに住む生物がどのように対処しているのか、また、どのように生き抜いているのかは分かっていません。
そしてここ数十年、この貴重な生態系は地球温暖化や人間が引き起こす環境汚染によってますます脅かされています。変化のスピードが速く、北極で起こることは地球全体に影響を与えるため、北極はまさに地球の”監視役”と言えるでしょう。
北極圏およびその他の地域での気候変動の影響を調べる
現在到達困難な地域の探査をし、地球の生物多様性の理解につなげる
過酷な環境で生きるために進化してきた生命の適応の仕組みを解明する
海氷の融解と環境汚染が生態系に及ぼす影響を分析する
北極圏の魚類資源と、生態系の温帯化による影響を観察する
新たな応用が期待できる分子・新種・プロセスを発見する
- 10 2045年までのミッション数
- 20人 乗組隊員数(+2匹の犬も乗船)
- 90 % 任務期間のうち、海氷の真ん中に滞在している割合
- 18ヶ月 任務の継続期間
タラ極地ステーションは、北極圏に展開することで2030年までのフランス極地戦略に貢献していきます。
特徴
海に浮かぶ極地
科学漂流基地
設計:オリヴィエ・プティ/タラ オセアン財団
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全長
26メートル
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全幅
13.8メートル
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喫水
2.30メートル
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乗組隊員数
20人
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淡水化装置
300リットル/時
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載貨重量
175トン
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高さ最大
7.9メートル
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船体厚み
18ミリメートル
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燃料容量
125立方メートル(HVO)
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寝台数
20
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航続距離
2,200マイル
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旗国
フランス
科学と人類の未曾有の挑戦
海に浮かぶ極地科学漂流基地「タラ極地ステーション」には、2045年までいくつものミッションが予定されており、世界中の科学者が参加します。
気候学者、生物学者、物理学者、氷河学者、海洋学者、アーティスト、医師、ジャーナリスト、そして船員が力を合わせ、基地内で共同生活を送り、冬は極夜の中、-20°から-45°の温度下で観測・実験を行います。このフランスの国家主導のミッションには、すでにフランス国立科学研究センター、フランス極地研究所、ケベック州ラヴァル大学、米メイン大学、フランス原子力・代替エネルギー庁、スイス極地研究所、アルフレッドウェゲナー極地海洋研究所 、ドイツ研究センターヘルムホルツ協会、デンマーク極地研究センター、フランス国立宇宙研究センター等が参加しています。
これらの機関は、気候変動の原因と結果を理解する上で大変重要でありながら、いまだ多くの謎を秘めたこの環境の解明に向けて、学際的な研究を行う予定です。
このプロジェクトは「フランス2030」計画の一環としてフランス政府より、また「フランス復興計画」としてヨーロッパ連合復興基金「次世代のEU」より共同出資を受けています。
リサーチ
北極圏
今後のミッション
北極圏の変化を見極める
タラ極地ステーションの探査は、2050年までのヨーロッパの気象モデルの予測や、気候変動が地球の機能に及ぼす影響を詳しく分析します。これらの成果は、北極圏や世界海洋のガバナンスに関する政策の改善に活用することができます。