タラ オセアンと SDGs
海を理解し、より良く共有し、守るために。創設以来、タラ オセアンは、一般市民、政治的リーダー、産業界など社会全体が、地球の青い肺の保全と利用のバランスに向けて行動を起こせるよう、科学的発展に寄与することを理念としています。
2015年に正式に採択されて以来、国連が2030年を達成期限とする持続可能な開発目標(SDGs)は、私たちの誰もが未来に対して果たすべき行動を示したものです。
全17のSDGs目標のうち、タラ オセアンが参画する7つのSDGsを紹介します。
目標14:海の豊かさを守ろう
タラ オセアンの活動の中心となるSDGs目標です。長らく待ち望まれていた、海洋分野に完全に特化したSDGs目標が掲げられたことは、当財団と海洋保全に関する社会全体にとって大きな前進となりました。その目的は、「持続可能な開発のために、海、海域、海洋資源を保全し、持続的に管理する」ことです。タラ号プロジェクトと研究パートナーによって行われる調査、学校や一般市民に対する教育・啓発活動、各機関や利害関係者への政策提言、途上国との協力プロジェクト等、これらの活動は、SDGs目標14の10のターゲットのうち6つに関係しています。
目標4:質の高い教育をみんなに
タラ オセアンは、「目標4:質の高い教育をみんなに」にも積極的に取り組んでいます。独自の教育プログラムを無償で提供し、持続可能な開発のための教育(ESD)を推進しています。その目的は、青少年が環境市民としての行動力を身につけ、批判的思考力をのばすのに欠かせない知識とスキルを育むことです。
フランスのタラ オセアン財団では、年間を通した教育活動、研究者とのオンライン授業、生徒による短編映像レポート制作、本物の科学データキット、タラ号の科学をテーマにしたドキュメンタリー映像、授業で行う実験など、多彩な教材を提供しています。また、フランス国民教育省の2030アジェンダに応え、同省と緊密に連携して活動しています。
タラ オセアン ジャパンでも、年間を通し海洋環境教育のイベントを屋内・屋外で行っています。
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等の実現は、タラ オセアンがさまざまな形で取り組んでいる主要課題の一つです。フランスのタラ オセアン財団では、まず、寄港地で、科学における女性の立場をテーマにしたカンファレンスを開催し、若い世代にインスピレーションを与える「ロールモデル」を作るという観点から、女性科学者や海洋保護に取り組む人々のキャリアに焦点を当て、継続的にコミュニケーションを図っています。さらに、女性船員の乗組員への登用にも特に力を入れています。
目標11:住み続けられるまちづくりを
都市や地方自治体は、その地域において持続可能な開発に関する実践をする上で重要な役割を担っています。フランスのタラ オセアン財団では、2019年の「タラ号マイクロプラスチック調査プロジェクト」から帰還後、CNR(Compagnie Nationale du Rhône/ローヌ県国立会社)およびIAGF(Initiatives pour l’Avenir des Grands Fleuves/CNR関連の一般社団法人)とともに、フランスのコミューンや地方自治体ヘ向けてプラスチック汚染問題に真剣に取り組むよう提言していくことを決めました。こうして、「河川プラスチック憲章(Charte Fleuve Sans Plastique)」を通じて、自治体がプラスチック汚染に対して効果的な施策をとるために必要な設備を整えるサポートをしています。
タラ オセアン ジャパンでは、海洋環境教育で連携協定を結ぶ香川県三豊市とともに、香川県の離島・粟島で環境教育イベントの開催やアート展を開催し、地域の活性化を目指しています。
目標12:つくる責任つかう責任
海洋におけるプラスチック汚染、その発生原因、生物多様性への影響に関する研究を含む4つのミッションの結果、海洋におけるプラスチック汚染の80%は、陸上に端を発していることが明白になっています。そして、今後数十年の間に見込まれるプラスチック生産量の増加は、海にとってこれまで以上に大きな脅威となるのです。タラ オセアンは、日常生活のあらゆる場所で利用されているプラスチックを見直し、他のエコ素材への移行を推奨し、「自然界へのプラスチックの流入をゼロにする」という未来へのビジョン実現に向け取り組んでいます。そのために、問題のあるプラスチック・使い捨てのプラスチック・使い道のないプラスチックを減らし、なくし、再利用を増やし、回収・リサイクル性能を向上させ、エコデザインを開発し、問題のある素材の代替を図るという、循環型経済のコンセプトを重視しています。
目標13:気候変動に具体的な対策を
海洋は、地球の気候の鍵を握るエンジンのように重要な要素であるにもかかわらず、これまで陸上の生態系にばかり焦点が当てられ、気候変動に関する議論から長い間遠ざかっていました。そこで、タラ オセアン は10年以上にわたり、気候変動が海洋とその微細で未知の生態系に及ぼす影響をよりよく理解し、予測するための科学の構築に取り組んでいます。被害者であると同時に解決策でもある「海」は、気候変動対策において鍵となる味方であり、それゆえ海洋問題を国際的な気候変動に関する交渉の中心に位置づける必要があるのです。当財団は、気候変動に直面する海洋にとって重要な局面において、国際的な多方面にわたる利害関係者の連携体制づくりにも携わっています。
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
タラ オセアンにとって、海洋に関する新しい知識をできるだけ広く共有することはとても重要なことです。私たちは常に、政策決定は正しい科学的専門知識に基づいて行われなければならないと主張してきました。そのため、フランスのタラ オセアン財団では「フランスの地球環境ファシリティ(FGEF)」の支援を受けた協力・開発プロジェクトを通じて、途上国の研究者の育成、科学的協力関係の構築、的確な技術移転、地域や地方の意思決定者との共有に努め、地域の事情に応じた科学的専門知識を身につけられるよう取り組んでいます。このような問題意識の共有は、国際交渉の担い手たちが体系的で公正な合意に至るための必要条件であるといえます。